「4監査法人による共同声明」から読む、今後監査法人が重視する会計人材
2019.1.24に、あずさ、EY新日本、トーマツ、PwCあらたの4大監査法人が共同声明を発表しました。
4監査法人による共同声明を発表 ~4つのコミットメントを宣言~
監査法人の使命と、今後の取り組みについてコミットメントを発表しています。
ひとつひとつ見ていきながら、監査法人が今後重視する人材について考えてみましょう。
1.財務報告と監査の信頼性向上に向けた取組み
詳細は実際にリンク先を見ていただきたいので省きますが、一点目は監査の付加価値向上に取り組みます、といった内容です。
1.の取り組みについては、こちらの記事でも取り上げました。
【監査論のお話?】ますます監査法人の高付加価値化が求められそうです
今後の監査法人の業務は、手続効率化や、ITの活用によって、作業の割合はどんどん低下し、重要な判断や、指導、説明といった部分が重視されるようになるはずです。
そういった潮流の中で、指導機能で付加価値を発揮できる人材が求められるのは自明ですね。
強いて言うならば、会計基準などへの深い理解を前提として、会計にとどまらず、経営やリスクの観点から適切なアドバイスが出来る人材が今後重視されていきそうです。
ちなみに、文中に挙がっている「監査法人のガバナンス・コード」とはこちらのことです。
監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会
目指すべき監査法人の在り方について、行動規範をまとめたものです。
2.情報技術への積極的な投資
ITへの投資ですね。
卑近な例でいうと、4監査法人で確認手続(確認状のやり取り)システムの合同会社を設立したことですね。
今後も監査手続のITによる効率化は進んでいくことは確実なので、次世代監査を推進する部署などでは、監査の現場を経験しており、ITにも精通している人材が今後更に求められるでしょう。
監査の現場においても、システムを現場に投入していかなければならないので、クライアントにシステムの必要性を説明し、システム導入のトラブルにスムーズに対応し、うまく運用まで回していける人材は重宝されるはずです。
3.国際感覚を有する会計人材やデジタル社会に対応する人材への投資
ズバリ、英語人材とデータサイエンティストなどのデジタル人材に投資します、という点ですね。
英語が話せるだけでなく、海外メンバーファームとの知見の連携において、IFRSなどの知識があることも求められるはずです。
データサイエンティストについては、各法人既に積極的に採用をしているはずですが、はっきり言って現在の監査法人の横並びの給与水準では、一流のデータサイエンティストを採用できる見込みは薄いと思われます。
今後給与体系をどこまでダイナミックにしていけるのかが鍵になりそうです。
逆に、駆け出しデータサイエンティストとして、キャリアのステップを探したい人や、会計士としてデジタルを武器にしていきたい人にとっては、監査法人のデジタル人材のハードルが低い今がチャンスと言えるのではないでしょうか。
4.日本経済の健全な発展への貢献
監査法人に求められる使命を再宣誓しています。
ポイントとしては
コーポレートガバナンスや内部統制、リスクマネジメント等の分野における課題に対して会計監査で培った知見に基づく助言を提供することにより
引用:EY新日本HP(https://www.shinnihon.or.jp/about-us/news-releases/2019/2019-01-24.html)
という点ですね。1.でも書いていますが、会計にとどまらず、経営やリスクの観点からも適切に指導機能を発揮できるアドバイザリー人材が今後重視されていきそうです。
共同声明から読む、今後監査法人が求める人材のまとめ
月並みな結論ですが、今後の監査法人に求められそうな人材は
・経営やリスクの観点から指導機能を発揮できるアドバイザリー人材
・英語とIFRSに精通する人材
・監査の現場とITに精通する人材
・データサイエンティスト人材(デジタル人材)
の4つに更に投資をしていきそうだ、ということが読み取れそうです。
どれも満たす人材になるのは難しいので、受験生のうちから将来的に会計監査 + α として、どこに軸足を持っていくかは、今のうちから考えておいて損はないはずです。
監査法人のアドバイザリー部門については、こちらの記事をご覧ください。
会計士・監査法人のアドバイザリー業務とは一体何のことなのか?
英語についてはこちらに書いています。
実務に活かす!純ジャパ純ドメ会計士・経理マンのための英語学習法
IT監査人についてはこちらです。
他にも、このサイトでは、普段
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社会人が働きながら会計士試験に合格するための記事や
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異業種から経理や監査法人を目指す人のための記事
を書いたりしていますので、ご興味があればご覧になってみてください。
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