【新人】監査部門の公認会計士、市場価値は低い?【キャリア】
数日前、こんなツイートを見かけました。
某経営戦略コンサルの話を聞いたのだが、監査法人に長くいた人間は使い物にならないから、転職したいなら早ければ早いほどいい、準会員でもいいくらいだと言われてしまった
— Kske (@Kskexx) 2019年3月5日
これに関しては賛否両論(主に賛…)あったのですが、ここでは、実際に別業界から監査法人に転職して監査業務をやり、またその後別のことをしている私から客観的に見た市場価値の印象を語ってみたいと思います。
会計士試験に合格したてで、これから監査を体験する人たちは、自分がこのままで良いのかと不安になったりするでしょうから、その解消になれば幸いです。
結論から言うと…市場価値はケースバイケース
まず、市場価値というものは市場のニーズとのマッチなわけで、監査法人に長くいた人間は市場で使い物にならないということはありえません。
実際に、監査法人でマネージャーを経験された方は、上場企業の経理部門ではかなり重宝されます。日本の大企業の財務・経理部門には、部内のそれぞれの課ごとに監査法人出身の組織内会計士を抱えているところも珍しくありません。
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一方で、戦略系のコンサルは世間の会社とは違う特殊な働き方をしますし、長年の業界知識で付加価値を付けるよりも、リサーチと科学的技法で付加価値を付けることが主流です。(これをグレイヘアコンサルティングと、ファクトベースコンサルティングと言ったりします)
よって、特定の業界に長く居ることよりも、早くコンサルティング特有の仕事の技法を身につけた方がバリューを出しやすいというわけです。
ファクトベースコンサルティングとしてのコンサル業界の変遷に興味があれば、こちらをご覧ください。
コンサル一〇〇年史 (ディスカヴァー・レボリューションズ)
コンサルと同様に、完全な別業界の仕事も、監査法人での経験がリセットされるため、長く在籍しても市場価値は高く見られないでしょう。例えばエンジニアや、投資銀行のフロント部門など。
会社の仕組みを知っている人は市場価値が高い
では、監査に従事することの市場価値的なメリットって具体的に何?という話に移ります。
会社の仕組みを知っている人は市場価値が高いです。
例えば
・会社にはどんな「規程」があって、
・取締役会ではどんな事項が「議論」されていて、
・中長期的な「経営計画」がどんな風に立てられているかを知っていて、
・物品などの調達がどんな「流れ」で、どんな「書類」で進められるかを知っている人。
こういう人は、会社の仕組みを作るときに非常に重宝されますよね。
規程を作ったり、中期経営計画を立てたり、業務プロセスと統制を組み立てて、必要になる見積書、契約書などのテンプレートを作ったり。
監査の業務では、普通に
・様々な会社の規程が読み放題
・取締役会の議事録も読み放題
・経営計画も読み放題
・調達関連の資料も読み放題
・質問も(ある程度)し放題
なわけです。この環境は他にそうそうありませんよ。
監査に従事するなら、まずはここを意識すると市場価値に繋がってくると感じます。
会計処理の原理原則を使いこなせる人は市場価値が高い
二つ目のポイントは、会計処理の原理原則を使いこなせるか、ということです。
公認会計士試験でも、取引の実態が売買取引なのか金融取引なのか、とか、そういった取引の本質を考察し、あるべき仕訳を論述したりしました。
この考え方は、公認会計士に特有の考え方であり、一般的な経理人材や税理士よりも優れている点だと感じます。
また、原理原則から考えるという考え方は、例えば事業会社が新しいビジネスを始めるときなど「公認会計士の先生にチェックしてもらいたい」と思うわけで、ものすごく強い武器になったりします。
ですので、監査に従事するにあたっては、会社が新しい会計処理をしようというときに監査法人に相談にくることもありますが、その場面は宝の山です。ここで会社担当者と主査やパートナーのディスカッションに聴き耳をたて、自分なりに原理原則から会計処理を考えてみたりすると、今後の市場価値にだいぶ繋がってくるはずです。
さいごに
今回は、監査業務の市場価値について書いてみました。
市場価値はケースバイケースではありますが、中でも特に市場価値を高めるポイントはいくつかあります。そういったポイントを、監査業務の中でしっかりと経験しておくと、後悔のないキャリアを積んでいけると思います。
一緒に頑張っていきましょう!
他にも、このサイトでは、普段
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