社会人の働きながら公認会計士試験攻略法:論文では記述を得意にする【論文で得点力を上げる勉強法】
前回に引き続き、社会人が働きながら公認会計士試験合格の現実と攻略法のまとめ に記載の目次の
第二弾「試験形式に慣れる」の内容の続きを記載していきます。
今回お伝えしたいことは、論文の試験形式に慣れるまでは、3つの方法でこなす、という考え方です。自分が実際に行っていた方法を共有します。
なぜ、勉強していても記述ができるようにならないのか?
計算が苦手で短答式試験を突破できないのと同様にありがちなことが
論理だてて文章を書くことがどうしても苦手なために、論文式試験を突破できないことです。
なぜ勉強していても論文の記述ができるようにならないのか。
原因は単純に
・アウトプットが足りない
・アウトプットの方法が効率的でない
の2点ではないでしょうか。
そして、おそらくこの2つの原因は、繋がり合っています。
つまり
・アウトプットの方法が効率的でない→だから、アウトプットの量が足りなくなる
という流れで、勉強していてもアウトプットが不足し
記述が苦手なままとなってしまうことが多いのではないでしょうか。
なので、記述を得意にするには
効率的なアウトプットの方法を確立して、ひたすらアウトプットする
ことが良い改善策だと考えています。
効率的なアウトプットの方法とは何か?
私が実践した方法は3つです。
どれもオーソドックスなやり方ですが
できるだけ実践しやすいよう具体的に説明していきたいと思います。
もし記述が苦手で、学習方針が立てられていない方がいらっしゃれば
一度試してみてください。
アウトプットの方法を一枚にまとめると、こういった形です。
では、ひとつひとつ順を追って説明していきます。
方法1:箇条書き
初期・インプット期に実践していたオーソドックスな方法です。
箇条書きで大事な文言に絞って解答を書くことで
・論理の流れをシンプルに理解し
・記述の量と時間を減らして効率的にアウトプットする
ための方法です。
某講師の方もこの方法でレクチャーされていますね。
具体的な手順はこちらです。
手順1:問題と解答を読みながら、箇条書きを頭で考える
一度問題と解答を眺めて、ざっくり内容を理解しながら
解答を箇条書きに書き換えるなら、どのようにまとめるか?
を考えてみます。
箇条書きを考える過程で、解答の理解が確実に深まっていきました。
既に箇条書きが用意されている問題集を使う場合は、無理に箇条書きを新しく考える必要はありません。
しかし、書いてある箇条書きを「自分の言葉にする」つもりで解答と箇条書きを読んでみてください。
手順2:考えた箇条書きをまとめて、実際に問題集にメモする
手順1で箇条書きを考えたら、それを問題集の片隅にメモします。
まず一発で綺麗な箇条書きを書けることはないと思うので
私はまずルーズリーフに箇条書きの下書きを何度か書いて試行錯誤しました。
箇条書きの内容が固まったら、それを問題集の隅にメモ書きしました。
そして、ひとまず問題集を、この手順2までで一周しました。
手順3:問題を読んで箇条書きを書いて解答する
手順2までを終えたら、問題集には箇条書きのメモが付されている状態になります。
問題集を2周目以降解く場合は
問題を読んで、箇条書きをルーズリーフやチラシの裏などにササっと書いて解答する
形で問題を解きます。これが手順3です。
これにより、問題を一問解くまでの時間が圧倒的に短縮できます。
★注意点:箇条書きを肉付けして文章にする練習も必ず行うこと
箇条書きを書くことができても、実際はそれを長文にして記述する必要があります。
しっかりと箇条書き学習を行っていれば、文章化にはそれほど苦労することはないのですが
それでも文章化の練習は必ず行った方が良いと思います。
タイミングとしては、答練や模試のタイミングで行うのが良いと思います。
私は、答練を実際に提出して採点してもらうことはしなかったので
答練や、模試の解答用紙に自宅でしっかりと記述して解答して、自己採点することで練習しました。
方法2:スピーチ
方法1で作った箇条書きの内容をスピーチする学習方法です。
某予備校はこの方法を中心とした論文学習を打ち出していますね。
箇条書きといえども、書くのはある程度時間がかかるので
箇条書きで1~2周回して慣れてきたらスピーチに移行しました。
スピーチができるようになると、理論問題集を超高速で回せるようになります。
手順1:問題を見て箇条書きを思い出す
箇条書きの方法とやり方は変わりませんが、問題を見て、箇条書きの内容を思い出します。
手順2:思い出した箇条書きに接続詞を加えてつぶやく
ここがスピーチのキモだと思います。
箇条書きをベースに、他人に説明したとしても意味が伝わるように接続詞を加えます。
下記のような主要な接続詞は、ここで覚えておきます。
順接:したがって、それゆえ
逆説:しかしながら
並列:また、および、かつ
対比:一方
説明:なぜなら
補足:ただし
例示:例えば
その他の接続詞については、以下のサイトが良くまとまっています。
文章は接続詞で決まる→(保存版)接続詞の常識チートシートにまとめてみた
つぶやく際は、黙読でもいいですが、実際に言葉に出すと論理的な矛盾に気づきやすいのと
記憶がしやすかったので、口パクでもいいので言葉に出すことをおすすめします。
口パク程度であれば、電車の中で行ってもギリギリ変な目で見られないはずなので
どんどん通勤時間にスピーチをやっていきました。
手順3:箇条書きを確認して答え合わせする
方法1「箇条書き」で、問題集の隅に箇条書きのメモをしたと思いますので
この箇条書きを確認して答え合わせします。
方法3:カンペ化
最後は、問題と箇条書きの組み合わせをA4のカンペにしたものを作ります。
(もちろん、本番でカンニングをするわけではありません…)
目的は、問題集の周回を超高速化するためです。
問題集はどれもページ数が多く、一覧性に欠けるうえ
重くて分厚いので持ち運びが大変なので、通勤時間などスキマ時間の学習に不向きです。
なので、問題集や答練で出た論点をExcelなどでまとめて、A4用紙数枚にプリントアウトしたものを持ち歩いて、スピーチを行うことで問題の周回を超高速化します。
時間のない場合は、方法1、2をすっ飛ばして、方法3のカンペ化を行うのもアリだったのかなと
今では思っています。
手順1:問題集・答練を見てカンペをつくる
問題と答練から、論点を凝縮してカンペをつくります。
結論が一緒だったり、言い回しが使いまわせる類題は一つの問題にまとめます。
私の場合、財務会計論で100~150ほどの論点におさめ、A4で10枚前後の分量になりました。
ちなみに、企業法や監査論でも同様のカンペを作成しました。
こちらが企業法で作成したカンペの抜粋です。
財務会計論と違うところは、箇条書き(答案構成)部分に、条文を記載してメモしていることです。
手順2:カンペを見て、脳内スピーチを行う
カンペを作ったら、通勤時間、就寝前などにカンペを見て、ひたすらスピーチを行います。
A41枚10分として、理想的には2時間以内で理論を一周回していくような計算になります。
このペースでやっていくと
財務会計論、管理会計論、企業法、監査論の4科目のカンペを作ったとして
一週間で無理なく理論を一周できると思います。
手順3:箇条書きを見て答え合わせする
カンペ右側の箇条書きを見て答え合わせをします。
まとめ
この3つの手順をこなしていけば、確実に記述をモノにすることができると思います。
特に効果があったと感じたのは、方法3の「カンペ化」です。
カンペ化の過程で
・論点をまとめる
・論点について、箇条書きで短くまとめる
・それらを文書化する
というプロセスを経ているので、理解が深まり
また、それを場所を選ばず高速で回すことができるので、記述の骨子を確実に頭に染み付かせることができました。
場所を選ばないというのは、例えば
・通勤時間
・夜寝る前ベッドの上で
・トイレ(汚いですが…)
・お風呂の湯舟で(ふやけますが…)
でも理論の学習ができるということです。
記述の骨子ができれば、あとは模試や本番で、骨子をもとに肉付けしていくだけです。
また、模試や答練で新しい論点や応用論点に触れた場合
カンペにメモ書きを追加してアップデートすることで、網羅性と一覧性のある資料を簡単につくることが可能なことも便利でした。
今回は、論文で記述を得意にするための方法をまとめました。
話半分に眺めていただき、使えそうだと思った方法は是非使ってみてください。
次回は「試験形式に慣れる」の3点目「答練と本試験の僅かなギャップを埋める」について書いていきたいと思います。
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