【悲報】第151回簿記二級、異様に難しい&資格の価値を考える【会計】
2019年2月24日に、第151回簿記二級検定試験が実施されました。
まずはこちらをご覧ください。
第3問があまりにも鬼畜すぎて
先生がキレちまってるぜ….
俺も頑張って時間ギリギリまで
債権債務残高&取引高やってやったぜ!#簿記2級 pic.twitter.com/FsruEH3dTj— たけなま (@takenama2525) 2019年2月24日
この第3問、連結精算表の問題で
・子会社2社
・連結会社間の取引相殺、未実現利益の消去バリバリ
・難解な問題文
ダウンストリームといえど、数年ちょっと前までは簿記二級は「連結?無視でしょ!」といった試験だったはずですが、ふたを開けてみれば公認会計士試験の問題集かな?という様相を呈した出題がなされており、我ながらびっくりしております。
「難解な問題文」については、25日の17時に言い訳説明が公表されました。
第151回簿記検定試験2級の問題についてhttps://t.co/gPiUFd1k6m
— 【公式】日本商工会議所検定 (@jcci_kentei) 2019年2月25日
「まずは簿記二級から」「簿記二級を受けて会計に向いているか確かめよう」とか軽々しく言ってごめんなさい。もう言いません。
試験の詳細はパブロフ簿記のサイトをどうぞ。
色々すっとばしで単刀直入に結論を言います。
現在の状況で、簿記二級をキャリアのために受けている方は、USCPA受験に切り替えた方が圧倒的にコスパが良いと思います。
何故か?説明していきます。
その前に前提:学習や上位資格の取得が目的なら簿記二級を受けても良い
前提ですが、あくまで純粋な学習目的や、公認会計士や税理士などの上位資格を取ることが目的であれば、試験内容が難しくてもいずれは通る道であるので、合格して損はないと考えます。
あとは「簿記二級を取りなさい」と会社から言われて、仕方なく受験している場合も。
ただし
・簿記二級を活かして就職活動に役立てよう、就職先を探そう
・仕事上会計資格が必要そうなので簿記二級を取ろう
・簿記一級以上は取るつもりがない
という方は、簿記二級のコスパに疑問符がつきます。
簿記二級のコスパが疑問な理由
理由1(試験内容):出題範囲が膨大で、学習にかける時間が多い
過去の簿記二級は、連結の論点などほとんどなく、単体の知識で合格点が取れるレベルでした。
しかし現在の簿記二級は、連結論点がバリバリ出題され、問題内容も公認会計士試験ほどではないものの、初学者が学習を開始して1~2か月ではとうてい太刀打ち出来ないレベルの問題が出題されています。
今の簿記二級試験は、昔のように1か月・独学で受かる試験ではなくなってしまいました。
3か月以上、予備校を使ってみっちりやらないと、余裕を持って合格するのは難しいのではないでしょうか。
理由2(合格率):傾斜配点がなく絶対評価なので、合格率が試験内容に左右される
簿記二級には(少なくとも今までは)傾斜配点がなかったはずです。つまり、純粋に得点数が合格点を上回っているか否かで合否が決まります。
ちなみに簿記一級には傾斜配点があるため、他の受験者が出来なかった問題は解けなくても問題のない相対評価となっています。
さて、傾斜配点がないとどうなるか。今回のようにメチャ難しい問題が出ると、それがそのまま合格率だだ下がりということになりかねないということです。
合格点や配点での調整がもしかしたらあるかもしれませんが、望みは薄いです。何故なら、簿記二級の今までの合格率を見れば、そんな調整はあまりしていなそうだ、ということが分かるからです。
第133回の合格率は47.6%ですが、141回の合格率は11.8%というブレ具合。
極端な言い方をすると、努力が報われにくい試験になったと言えます。まだ相対評価のぶん、簿記一級の方がマシな気がします。
理由3(資格の価値):合格したとしても「たかが簿記二級」という扱いをされる
こういった困難に耐えて簿記二級に合格したとしても、世間からは「たかが」簿記二級という扱いをされます。大昔に1か月そこらで簿記二級を取得した人達に、です。
学習コスト・難易度と、資格そのものの価値が乖離しているのでは、と思います。
以上3点の理由から、簿記二級のコスパには疑問符がつきます。
USCPAが簿記二級より優れている理由
そんなコスパが悪い資格をわざわざ取るより、USCPAにした方がよいのでは?という理由が3つあります。
商工会議所の方々には悪いですが…
理由1(試験内容):必要な会計知識は明らかに簿記二級未満
はっきり言って、USCPAで問われる会計知識は、今の簿記二級より明らかに少ないと思われます。
その分、多少の英語力を求められたり、商業簿記/工業簿記以外の論点が複数あるために、別分野の知識が求められるのですが、(今回の出題のように)難解なものは無いです。
理由2(合格率):合格率が各科目50%近くあり、簿記二級の二倍以上
さらに、全4科目の合格率は50%弱であり、簿記二級の合格率を普通に上回っています。
とはいえ、母集団(受験者のレベル)が違うので、一概に比較は出来ませんが、少なくとも合格率が極端にバラつくことはないでしょう。
理由3(資格の価値):合格するだけで監査法人に就職できるレベルの箔がつく
USCPAに合格すると就職市場でも一定以上の評価をされ、今現在の市況だと監査法人に普通に就職できます。経理の求人や、場合によってはコンサルティングファームの求人も多いでしょう。
新卒の学生がUSCPAを持っていればかなり有利に選考を進められるはずです。
対して、簿記二級単体で監査法人やコンサルティングファームの採用を勝ち取ることは正直に言って厳しいです。
単純に肩書としても「米国公認会計士」試験に合格と、「簿記二級」で大分響きが違うような…
USCPAの課題として
・試験科目が4科目と多い
・(科目が多いので)合格までの期間も、おおよその場合1年を超える
・英語での出題
・出費がかさむ
という(割と切実な)ポイントがありますが、これらの課題を乗り越えられるのであれば、もはやキャリアのために簿記二級を受けるよりも、USCPAの方が断然オトクなのでは?と思う今日この頃です。
USCPAにかかる金額などの情報はこちらをどうぞ。
USCPAって実際どうなの?難易度・転職事情・年収のリアルな事情
とはいえ、色々ネットで調べるより、片っ端から直接資料を取り寄せたり、ガイダンスに参加して気になる所を質問した方が早いと思います。押し売りされるものでもないので。(といいつつ宣伝)
有名どころは
・アビタス:USCPAを目指すならアビタス。
・プロアクティブ:USCPA専門スクール プロアクティブ
・TAC:USCPAを目指す方のためのサイト TAC米国公認会計士講座
・大原:米国公認会計士【資格の大原】
の4つです。
それでも簿記二級を受けるなら
今まで以上に本腰を入れた方が良いかもしれません。
独学でテキスト中心の方は、予備校を検討することも。TAC・大原など色々ありますが、独学に近いところで言うと、ネットスクールは質・価格ともに評判が良いです。
今回のような難問に惑わされず、典型論点をしっかりと解き切る力を着けることに注力するのがベターかと思います。
1.工業簿記を得点源にする。
2.商業簿記では単体の基礎的な部分で得点を落とさない。
3.連結は基本だけ抑える。
この方向性を信じていくしかないのかな、と個人的には考えます。
1.について。
工業簿記は、商業簿記より習得が簡単かつ、公認会計士試験と難易度の差異があまりない分野だと思います。
なので、簿記二級の段階で得意分野にしておけば、後々ずっと得点が稼げる科目になる可能性が非常に高いです。
特に「標準原価計算」を理解できるように学習することがキモかと。
標準原価計算は簿記二級以降の管理会計論の中でも重要論点です。
関連して、こちらの記事をどうぞ。
2.について。
公認会計士試験に進んだとしても、少なくとも短答式試験までは、単体の論点が得点の大部分を占めます。
論文式試験でも、理論問題では確実な単体の知識が求められます。
経理の実務では連結が出来ると有難られたりしますが、まずは単体をきっちりと固めましょう。
3.について。
連結は非常に奥が深く、簿記二級の段階でやり込もうとするとキリがない分野です。
なので、深追いせずに「すぐに解ける」部分だけを取るのがポイントだと思います。
・典型的な連結修正仕訳(投資と資本の相殺消去、売上など)
・資本金、資本剰余金
・のれんと償却
あたりでしょうか。
また、今回の騒動?を受けて、次回はやや難易度の調整が入るかもしれません。次回の受験申込は欠かさずにしましょう。
色々とモヤモヤするところはありますが、気持ちを切り替えて、実りある挑戦にしていきたいですね。
他にも、このサイトでは、普段
私が社会人で働きながら会計士試験に合格した経験から
社会人が働きながら会計士試験に合格するための記事や
社会人の働きながら公認会計士試験攻略法:論文では記述を得意にする【論文で得点力を上げる勉強法】
会計士試験がつらい・諦めようと考えている方へ【働きながら受験】
監査だけでなく、コンサルでの経験から
監査法人やコンサルに入ってからの基本的なハードスキルの記事
異業種から会計士試験を目指した経験から
異業種から経理や監査法人を目指す人のための記事
を書いたりしていますので、ご興味があればご覧になってみてください。
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