富士通・NEC間接部門リストラ。経理がこの先生きのこるための方法【キャリア】
日系IT企業大手の富士通、NECのリストラが続き、3,000人規模が同グループを退職することがニュースになりました。
正直に言うと、経理はこの先リストラの危険性がかなり高い職種だと思います。ではどうすれば生き残れるのか。
業界の近況を覗き見るに、それは「経理業務の標準化と自動化を自ら先導すること」だと私は考えます。
なぜか?説明していきます。
経理業務の大部分はルーティン=ITによる自動化の対象
経理業務は大部分が定常的な業務です。
例えば、請求書を発行して、売上計上の仕訳を入力して、債権管理をして…という業務は「できるだけ正しいやり方でミスのないこと」が求められます。
(一部の難しい取引の処理を除いて)こういった処理方針が明確で、正確性が求められる仕事はITの得意分野で、現在の技術で難なく置き換えられてしまいかねません。
有名な話ですが、オックスフォード大学がそういった仕事をリストアップしています。
オックスフォード大学が認定 あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」
また「現在の技術」として有名なのがRPAです。
2017年度のRPA市場売上金額は35億円、前年度比4.4倍と急成長、2022年度には400億円に達すると予測 ITRがRPA市場規模推移および予測を発表
RPA市場は下記のとおり著しい成長を遂げており、自動化の流れが実際に迫っていることを証明しています。
(出典:ITR HP)
ちなみに、エンタープライズ向けの営業や、高単価のエンジニアは真逆で、最も自動化の対象になりにくいと言われています。
エンタープライズ向けの営業は関係者が多く、商談も複雑になりがちです。そのためアプローチも様々なので、ルーティンとはかけ離れています。
高単価のエンジニアも同様で、普通のエンジニアが出来ないような案件(=単価が高い案件)に取り組むので、希少価値が高く、ルーティンからは遠い存在です。
同じ経理でも「高単価のエンジニア」のような非定常業務に強い存在は、生き残る確率が非常に高いでしょう。ただし安心はできないです。
一部の非定常業務は残るが、BPRでボリュームは縮小する可能性
なぜなら、そのような非定常業務もだんだん減っていく可能性が高いからです。
今後、業務改革(BPR)とアウトソーシング(BPO)によって、複雑な業務がどんどん標準化され、アウトソースされていくことにより、非定常業務は縮小していくでしょう。
キーワードは「2025年問題」です。
ザックリ言うと、現在世界の大企業2,000社のうち約90%が導入しているERPベンダー「SAP」(の「SAP ERP」製品)のサポート期限が2025年に終了することを言います。
サポート終了に伴い、多くの企業が後継製品の「SAP HANA」に移行するか、他社ERPに移行するでしょうが、移行に伴って大規模な業務の見直しと標準化が行われる可能性が高いでしょう。
もともとERPは、企業の複雑かつ多岐にわたる業務とシステムを統合してシンプルにしよう、という狙いのもと導入されていきました。
しかし、日本企業ならではの「業務はできるだけ変えたくない」という考え方によって、業務に合わせたアドオン(追加機能)まみれの複雑な業務システムになっているのが現状です。
この現状がSAP ERPのサポート切れを機に少なからず見直され、BPRによって業務がシンプルになっていき、非定常業務は幾分か縮小していくのではないでしょうか。
自動化と標準化の波には逆らえない。ならば自ら先導するのが一番ラク
こうした波に逆らうのはなかなか難しいです。
チャンスがあれば先導する役回りを自ら買って出るのが一番ラクではないでしょうか。
・経理業務改革プロジェクトのメンバー、リーダーに立候補してみる。
・チャンスが無ければ、身近な経理業務をどんどん自動化してアピールしてみる。
→とりあえずの自動化なら、VBAは取っつきやすいです。こちらをどうぞ。
会計士・経理マンの仕事をラクにする自動化プログラミング入門
・RPAの勉強をして、実際に自分で動かしてみる。
→RPAは技術的な敷居が低く、Non-IT人材でも習得可能です。
RPA習得の難易度は「Excelの関数以上プログラミング未満」説
→UiPathなど、個人的な利用の範囲なら無料で使えるツールが沢山あります。
UiPathではじめるRPA入門 (1) 〜 概要編
こうしたことをどんどんやっていくのが、経理として生き残る方法ではないでしょうか。
監査法人の会計士とて、例外ではありません。
小さい組織で経理の最適化を推進する経験が将来強みになる
もし意に反して大企業から転職して中小企業に移ってしまったとしても、その経験は絶対に強みになるはずです。
なぜなら、小さい組織なら自分が標準化・自動化を主導しやすい環境だからです。
一度実際に主導してしまえば、その後多くの企業から声がかかる人材になるでしょうね。
さいごに
今回は、経理がこの先生き残っていくには「標準化・自動化を先導、推進していくこと」という記事でした。
前述したように、監査法人の会計士もスタッフのルーティン作業が多い職業なことに加え、将来の転職先の一つに経理があるので、決して他人事ではないはずです。
お互い頑張っていきましょう…
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